谷桃子バレエ団「Creative Performance VI」

2008.6.14 草月ホール


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Tani Momoko Ballet
CREATIVE PERFORMANCE VI

日原永美子 振付
「Pas de Quatre」

振付家インタビュー

ダンス・スクエア:クラシックの名曲「パ・ド・カトル」は4人のダンサーが際だつ個性とテクニックを持ち合わせていないと成立しないバレエです。これだけの4人がよく集まりましたね。
日原永美子さん:キャスティング会議で私の大好きな4人を選ぶことが出来たのはとても幸運でした。

4人が決定してから作品を選んだのですね。それにしてもよく挑戦しましたね
_私自身もこの偉大な作品をリメイクして良いのか自問自答しました。ただ幸いなことに(過去に)私自身が踊っていませんでしたので、(特定の役に)思い入れもなく公正に見つめることができたと思います。
伊藤さよ子
上島里江
正木智子
佐々木和葉
曲はほぼそのままの構成でしたが4人のキャラクターがとても現代的でした。
_それぞれの個性の違いは常々感じていました。和葉 さんはリリカル、上島 さんは強さ、正木 さんはナチュラル、さよ子 さんは七変化。それが稽古に入ってますますハッキリしてきて私もたじたじでした

日原 さんが振付・演出したのですよね。(笑)
_自由で活発な意見の飛び交う稽古場でした。私は自分の感覚を彼女たちに託しただけです。「ひょっとしたらペローさんもこんな風に作ったのかな?大変だったろうな」と思ったりしました。(爆)

初めてバレエを見た方はこれが本来の「パ・ド・カトル」と思うかもしれないほど自然で美しい仕上がりですね。
_そういっていただけると嬉しいです。ナマ足にトウシューズでしたので“オフバランスの使い方”や“エッジの効かせ方”がより自然にみせたのかもしれません。オリジナルの音楽や振付の完成度の高さにプレッシャーを感じていましたが、尊敬する同僚や仲間に囲まれてここまで漕ぎ着けました。お客様にも肩の力を抜いて楽しんでいただきたいですね。
赤木はるか 振付
「My Pet Goat」
ダンス・スクエア:振付のきっかけは?
赤木はるか さん:日本女子体育大学を卒業してこの春に入団しましたが、団員が作品を発表するこの公演のことは以前から知っていましたので「これはチャンスだ!」と。(笑)

さすがに現代っ子!入団前から狙っていたわけですね。(爆)
タイトル「My Pet Goat」を説明してください。
_“私は山羊を飼っている”とでも訳しましょうか。裏腹な性格が皆に嫌われて自分の居場所を捜している、そんな人が主人公です。

なるほど。だから劇中にひとりが「彼は言った。僕の居場所は?」と問いかけ(いくつかのドラマを経過して)ダンサー全員が「ここだよ!」と答えを返すのですね。

_
「自分がそこに居たいから居る」それに意味や価値があります。
プログラムのキャプションに
こぼれてはならない弱音が後を濁す。とありました。その意味は?
_
何気ないひと言がきっかけになり人の関係が崩れてしまい窮地に陥る。よくある人間模様ですね。

舞台も客席も暗い中で、ダンサーがあちこちのドアから入場し客席から舞台に上がりダンスが始まります。そして最後にひとりずつが舞台センター後方のドア(搬出口)から退場して終わります。どこから来てどこに行ったのでしょう?

_例えば、渋谷のスクランブル交差点です。共通の目的があるわけでもないのに三々五々集まってきて、信号が青になったら一斉に皆が歩き出す。
ひとりひとりは孤独を抱えているのに時間と場所を共有している。そんな様を表現できたら......。
ところで、あなたは今どこにいますか?
_どこにも居ないんですよ。困ったことに(笑)バレエ団に所属したからと言って将来が保証されたわけじゃないし、社会から見たら(私は)ただのフリーターだし......。そんな今の心境がそのまま作品に出たのかもしれません。

作ってて楽しかったですか?
_つらかったことの方が多いです。毎回のリハーサルで「口から心臓が出てしまうんじゃないか」と思うほど緊張して......。でも「(一緒に)がんばろう!」の言葉に励まされてやってきました。

先ほどご自分のことを欲張りだとおっしゃいましたが、バレエ以外には何にどん欲ですか?
_バレエ以外にはありません、バレエにだけ欲張りです。