N札幌舞踊会 ダンスパフォーマンス
「Christmas Happening !」

2012.12.6 札幌市教育文化会館 大ホール

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SAPPORO BUYOKAI
「Christmas Happening !」


壮大で創意に満ちた楽しい舞台
札幌舞踊会Christmass Happening!

うらわまこと

 この公演の前日(12月5日)、歌舞伎の第十八代中村勘三郎さんが亡くなりました。彼は歌舞伎の精神、本質をしっかり守りながら、その上に新しい、奇想天外ともいえるアイディアを盛り込み、また楽しい遊び心を加えて、歌舞伎の発展、振興に素晴らしい貢献をしました。
hope
振付/神村拓一朗
演奏/木箱
 なぜ、このようなことを最初に書いたのか。それは、札幌舞踊会の舞台をみて、同じような感想を持ったからです。もちろん、歌舞伎とバレエとでは形の上ではまったく違います。ただ、歌舞伎、バレエという芸術に対する創造者としての姿勢は共通のものがあるような気がするのです。
山本佳奈、倉岡千穂、志賀千穂、田中 綾、小池栞穂、内田朱音、鈴木伽実、小松美里、
小林虹子、萩原陽花、氏家嘉音、吉田珠琉、鎌田 遥、駒井ゆう、土屋奈未、月居桃望、
清河美月、山田陽凜、Takayuki、Kick
小倉友梨香
 札幌舞踊会は先代の創始者千田モト、そして現在の代表、芸術監督雅子をとおして古典作品とともに、さまざまな独創的な展開をみせてきました。現在の雅子自身も優れた作品を作っていますが、これまで金森穣や島崎徹といった現代をリードする振付家を積極的に起用するとともに、坂本登喜彦などカンパニーの出身者、団員にも自由な発想で作品を作る場を提供してきました。
Symphony No.7
振付/西野隼人
 今回の公演『クリスマス ハプニング!』もこの延長。ハンブルグやアルバータで活躍している服部有吉を招いて、このカンパニーの関係者とともに、新作、古典の小品5本を並べました。といっても、いかにも札幌舞踊会らしいのは、そこに大きな仕掛けがなされていることです。それは一見なんの関係もなさそうな5つの作品に1本糸をとおして、公演全体が1つの作品のような構成に仕立てたことです。
安村圭太 横岡 諒 山科諒馬、
林 香織
 作品は千田直系でジャズ、ヒップホップダンス分野の神村拓一朗の『hope』、ここの出身でKバレエカンパニーのソリスト西野隼人の『Symphony No.7』(ベートーヴェン曲)、ブルメイステル版『「白鳥の湖」第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ』(黒鳥)、そして服部有吉の『月の光』(ドビュッシー曲)、そして休憩を挟んでここの幹部、奥山健恵による『Adult Hours〜Requiem』。

音楽的にも、動きの点でも、ベートーヴェン、チャイコフスキー、そしてドビュッシーの著名な作品での、クラシック、コンテンポラリー系の動きによる3作。

それらを挟んで、最初に地元の電子系の音楽ユニット「木箱」のライヴによるヒップ・ホップ、ブレークダンス、そして最後はコーダ的な全出演者が顔をみせる、スイング、モダンジャズの小野健悟Groupの演奏によるバレエからジャズダンスが混在する作品。さらにソロ、パ・ド・ドゥから群舞、群像、ダンサーも照明も衣裳などの美術も、簡単には説明できないほど多彩な顔ぶれ、様式で構成されています。

林 香織