谷桃子バレエ団 新春公演「眠れる森の美女」
16.1.15〜17 東京文化会館大ホール

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Tani Momoko Balleti
「Sleeping Beauty」


山野博大の電脳バレエ横丁徘徊
谷桃子バレエ団『眠れる森の美女』全幕を初上演

 谷桃子バレエ団は1949年の創立だ。今までに古典から現代作品まで、多くの作品を上演してきたが、『眠れる森の美女』の全幕だけはやったことがなかった。『眠り…』は「バレエの中のバレエ」と言われるほどの、クラシック・バレエの最高峰に位置する作品だったので、谷桃子さんは最後まで手をつけることなく、昨年4月に94歳で亡くなられた。この谷さんの「やり残した大きな仕事」に谷桃子バレエ団は取り組んだ。2014年に新たに芸術監督に就任した斎藤拓を中心に、慎重に準備を進め、この度の初上演となった。
リラの精:佐々木和葉
のんきの精:前原愛里佳
優しさの精:樋口みのり
元気の精:田中絵美
鷹揚の精:黒澤朋子
勇気の精:雨宮 準
魔女カラボス:舘形比呂一 王妃:尾本安代 フロレスタン国王:陳 鳳景
 振付は、キーロフ・バレエで踊っていたエルダー・アリエフが行い、世界のバレエの至宝であるイリーナ・コルパコワがそれを監修した。谷桃子バレエ団が2015年3月に『海賊』全幕を上演した時と同じ二人が、こんどは『眠り…』の全幕を見せてくれることになったのだ。コルパコワは、1969年にレニングラード・バレエ団(今のキーロフ・バレエ)のメンバーとして来日し、オーロラ姫を踊って当時の日本のバレエ・ファンに強い印象を残した。私もその優雅な身のこなしに感動したひとりだった。
オーロラ姫:永橋あゆみ
 舞台美術と衣裳デザインは、ヴヤチェスラフ・オークネフに頼み、その製作はロシアのヴォズロジジェーニア社が受け持った。河合尚市指揮の東京ニューシティ管弦楽団がおなじみの序曲を奏でた後、プロローグの幕が上がった。舞台前面に紗幕に描かれた金色に輝く巨大な柵が立ちはだかり、その向うに国王フロレスタンの宮殿が見えていた。
オーロラの婚約者:安村圭太、伊藤大地、横岡 諒、篠崎祐大
 紗幕が上がると、そこは宮殿の大広間。オーロラ姫誕生の祝宴の場だ。儀典長のカタラビュート(吉田邑那)があれこれと忙しく準備を整えている。王妃様(尾本安代)と共にお出ましになった王様(陳鳳景)にその宴の招待客をたずねられ、名前を記した巻物を手渡す。フロレスタン王は、それをちらりと眺めただけで「ぬかりなくお招きしているのであろうな」と返してしまう。それが騒ぎの発端になる。魔女のカラボスの名前を招待客リストに書きもらしていたために、オーロラ姫は100年も寝ていなければならないことになり、このバレエが生れたというわけ。
 『眠れる森の美女』は、オーロラ姫、デジレ王子、リラの精、フロリナ姫、青い鳥と、主役級のダンサーを5人もそろえなければ上演できない。プロローグに出てくるのはまずリラの精(佐々木和葉)だ。優しさの精(樋口みのり)、元気の精(田中絵美)、鷹揚の精(黒澤朋子)、のんきの精(前原愛里佳)、勇気の精(雨宮準)の5人のソリストを従えて登場する。オーロラ姫(永橋あゆみ)の登場は第1幕で、デジレ王子(三木雄馬)は第2幕に。そして5人がそろうのは第3幕となってからだ。
永橋あゆみ  尾本安代  陳 鳳景