谷桃子バレエ団公演「海賊」全幕
2015.3.21&22 東京文化会館
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1of 3
Tani Momoko Ballet
「Le Corsaire」
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物語を簡略化し踊りに重点の演出、
よく対応した若い出演者たち
うらわ まこと
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19世紀(西暦1800年代)に生まれ、完成した、『白鳥の湖』などの古典バレエ。その多くはその後いろいろな舞踊家(演出・振付者)によって手を加えられながら、今日まで上演され続けています。
現在の舞踊家たちが、このような長い歴史をもつ作品を扱うには、大きく2つ、あるいは3つの方向があります。その1つは出来るだけ原作に忠実にというか、オリジナルを再現しようとする方法、いわゆる復刻、復元です。
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コンラッド:今井智也
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それを別にすると2つ。まず、物語の整合性(きちんとした筋道)を高め、ドラマをより精緻にするために、いろいろな伏線を用意したり、マイムをたんなる形式に終わらせずに、リアルな表現を目指す方法。そして、それと逆にマイムは出来るだけ少なくして、物語の緻密さより踊りの魅力に集中する方法です。演劇の国イギリス系の振付者は前者、ロシア系は後者の方向を選ぶことが多いようです。ちなみに日本では、大バレエ団の芸術監督、演出・振付者はどちらかというと英国型といえるでしょう。
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コンラッド:檜山和久
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サイード・パシャ:岩上 純
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ランケデム:山科諒馬& ギュリナーラ:加藤未希
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ランケデム:三木雄馬& ギュリナーラ:雨宮 準
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三木雄馬
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山科諒馬
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永橋あゆみ
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佐藤麻利香
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さて、今回の谷桃子バレエ団の新制作『海賊』は、キーロフ(現マリインスキー)バレエで活躍したエルダー・アリエフの脚本・演出・振付、そして同じキーロフのプリンシパル、イリーナ・コルパコワの監修ですから、やはり、物語よりも踊りに重点をおいています。
イギリス詩人バイロンの詩をベースに、まず1856年にマジリエ、そしてプティパが、アダン、プーニ、ドリゴなどの音楽を振付けた版をもとに、これまでいろいろなところで上演されてきた『海賊』。
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海賊たち:吉田邑那、守屋隆生、中村慶潤、安村圭太
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たしかに、ここでは海賊の首領コンラッドの部下の謀反、そしてそれに関するいろいろな策略があったり、誘拐や逃亡があったり、やや複雑な物語になっており、必ずしもこれらがそれぞれ踊りのうえで重要なかかわりをもっているとは限りません。この部分を簡潔にしようという考えは理解出来ます。
ただ、今回のアリエフ版では、率直にいって、簡略にし過ぎだと思います。これらをいちいち取り上げても意味ありませんが、たとえば、最初に海賊たちの乗った船が遭難するのですが、次にその首領コンラッドが現れるのが、大勢の部下とともに奴隷売買の場面であり、しかもここには忠実な部下アリはいず、海賊よりむしろ地元(流れついた土地)の住民のように見えてしまいます。
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