2017都民芸術フェスティバル参加公演
(公社)日本バレエ協会「ラ・バヤデール」全幕
2017.1.21&22 東京文化会館大ホール

4of 5
Japan Ballet Association
La Bayadere
　第３幕第１、２場は、ソロルの部屋を経て、彼の麻薬の眠りの中に現われる『幻影の場』。ここはインドを題材とする『ラ・バヤデール』としては、やや違和感もあるバレエ・ブランだ。

　まず24人のコール・ド・バレエが順次登場してパンシェ、アラベスクを繰り返す。３人のソリスト（廣田有紀さん、馬場 彩さん、平尾麻実さん）、ニキヤとソロルのパ・ド・ドゥと見なれた美しい舞台が続く。ここでも酒井はな・浅田良和コンビはたっぷりと見せてくれる。
　第３幕第３、４場は、ガムザッティとソロルの結婚式の場とエピローグ。死んだニキヤの幻影が現われ、バラモンの神にソロルと聖火の前で愛を誓ったことを告げると、神の怒りによって館は崩壊する。薄い幕に描いた残骸の絵をゆっくりと落とし、それを粉塵が巻き上がる映像の効果で援け、屋台崩しと同様の見せ場を作る。やや迫力に欠けるうらみはあるものの、大がかりな仕掛けを作らずに処理できる工夫は評価すべきだと思う。すべてが瓦礫となった館の空中にニキヤの被っていた白いベールが高く舞う。高僧の祈る姿を見せて幕を降ろす。

　アレクセイ・パクランの指揮、ジャパン・バレエ・オーケストラの演奏。バクランの指揮は適度にアクセントをつけたもので、場面の展開に効果を発揮した。

2017年１月21日22日昼の部所見

やまの・はくだい＝舞踊評論家
浅田良和
芳賀 望
橋本直樹
酒井はな& 浅田良和
橋本直樹& 長田佳世
廣田有紀
馬場 彩
平尾麻実
小泉奈々
戸田有紀
仙頭由貴
増原 聖
阿部 碧