3of 3 Tani Momoko Ballet Contemporary Dance Triple Bill
この広崎うらんの振付作品は、その「赤い靴」のモチーフを借りる。モイラ・シアラーの演じた役ヴィクトリアを踊る髙部尚子は、優れたバレエテクニックを持ち、モダンダンス作品などでもさまざまに活躍してきたが、現在、谷桃子バレエ団の芸術監督である。小さい身体が躍動し、そのテクニックと演技は、今回、演劇的場面でも十分に生かされている。相手役に当たる男性を演じたのは齋藤拓で、長身を生かしたダイナミックな動きは注目に値するものだった。そして笑いを誘ったのは、靴屋役の赤城圭である。赤城は現在、このバレエ団団長でもあるが、コミカルな演技を見事に演じていた。
現在、ほとんどのバレエ団がクラシック、古典バレエの定番上演が主体で、新しい作品の上演は少ない。このような形で新しい才能を生かすという企画は意味がある。これらを広げて、できれば現代の振付家による創作バレエにも、バレエ団はぜひとも挑戦してほしい。バレエで鍛え上げた優れた身体が、新たな表現に挑戦する姿を、ぜひとももっと見たいと思うのだ。
17.7.2 かめありリリオホール所見
舞踊批評家 しがのぶお