札幌舞踊会Xmas公演「くるみ割り人形」全2幕
2014.12.7 ニトリ文化ホール

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SAPPORO BUYOKAI
「NUTCRACKER」

 第1幕後半の演出は、レーザー光線を取り入れた21世紀仕様。従来の照明では不可能なラインや平面、図柄を舞台や紗幕の上に、あるいは中空に描き出し、瞬時にその形や色彩を変化させる。観客の頭上でラインが交錯したかと思うと、クララの助太刀でネズミ王を倒した、くるみ割り人形の周囲を立体的に包み込む。筆者の斜め前で舞台を食い入るように見つめていた、幼稚園児とおぼしき少女の姿が印象に残っている。彼女が成人する頃にはデジタル技術がさらに進歩し、さらに多彩な演出が実現するのだろうか。

 真夜中の大広間に現れるネズミ軍団にも、千田雅子版ならではのウィットが利いていた。泥臭いドブネズミではなく、キラキラ輝くジャケットを着こなした洒落者集団が、ミュージカルばりにショーアップされたステップを踊りこなす。ネズミの王様に扮し、茶目っ気を振りまいた安村圭太が、はまり役だった。

梶原千佳
クララ:小倉友梨香
くるみ割り人形:西野隼人 ネズミの王様:安村圭太
くるみ割り人形:西野隼人& ネズミの王様:安村圭太
くるみ割り人形:西野隼人& クララ:小倉友梨香
 雪の女王と王(藤岡綾子、横岡諒)に率いられた雪の精達が乱舞する場面でも、レフ・イワーノフ版のオーソドックスな振付にはとらわれず、独自の陣形が多用された。穏やかに舞う小雪から激しい吹雪まで、雪の描写は変化に富んでおり、北国を拠点とするバレエ団の面目躍如である。
雪の女王:藤岡綾子&雪の王様:横岡 諒