2of 2 NBA BALLET CAMPANY 『NEW DANCE HORIZON』 Metamorphose
ところで、コンテンポラリーダンス、コンテンポラリーバレエという呼称の違いについて述べる。前者は、ピナ・バウシュやフランス・ヌーヴェルダンスなどの影響で、ダンスの枠組みを超えた舞台を、主にバレエのベースがない人が生み出すもの。後者は、フォーサイスなどの影響で、バレエをベースにして、バレエの枠組みを超える舞台を指すとしておく。
前半から、「何かが起こる」という緊張感があり、日常と混沌から左右の動き、前後の動きという展開が作品に徐々にエネルギーを与えていく。日常の人、個人の日常生活が生み出す静かなエネルギーが徐々にダンスになっていく。踊っているのが、他の作品と同じバレエダンサーとは見えない。ここまで彼らに、「バレエさせなかった」のは意味がある。見事な構成と展開の中で、日常的な身体と動きから踊りが出てくることを示した。
『Thousand Knives』
出演したダンサーでは、まず、いまこのバレエ団の顔といえる峰岸千晶。キミホ作品と舩木作品に出演して、安定したテクニックとしっかりとした存在感で、舞台を引き締めていた。独特なエレガントさを持つ鷹栖千香も、この二作で目にとまった。男性では秋元康正がキミホ作品に出演して輝いていた。また、ゲストダンサーのジョン・レイドは、テクニックとリズム感がよく、日本人ダンサーより、常にちょっと早い動きが音楽と見事に合って、光っていた。
2012.10.23 杉並公会堂大ホール所見
舞踊批評家 しが のぶお