NBAバレエ団公演
『NEW DANCE HORIZON』「メタモルフォーゼ/変容」
2012.10.23 杉並公会堂大ホール
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NBA BALLET CAMPANY
『NEW DANCE HORIZON』
Metamorphose
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志賀信夫の「動くからだと見るからだ」
NBAバレエ「四人の地平」
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NBAバレエ団は、バレエリュス作品の発掘なども手がけつつ、常に新しい創作にチャレンジするなど、近年見ていて、伝統と先進という両方を視野に入れたスタンスには、他のバレエ団にない魅力がある。ロシア・アジアなど海外出身のバレエダンサー団員が独特の動きと個性で輝くなど、見るたびに新しい発見があるバレエ団だ。沿革を見ると、元々、ダンサーにチケットノルマのないバレエ団を作ろうということで始まった新しい形のバレエ団で、現在NPO法人となっている。
今回の企画「NEW DANCE HORIZON」は、外部の振付家4人を招くというチャレンジだった。1995年に始まった「コンテンポラリーダンシングセッション」が元になっており、それが2004年に、「NEW DANCE HORIZON」となり、2008年には中村恩恵の振付など、意欲的な舞台をつくってきた。
本年、芸術監督、理事長などが変わったが、松永雅彦、伊藤キムの舞台は、前芸術監督、安達哲治の企画によるものだ。
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松永雅彦作品
『Harmonization-習慣からの脱却』
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最初の『Harmonization-習慣からの脱却』は、松永雅彦による振付。松永は日大芸術学部出身で、西田堯舞踊団で学び、フランスで活動。東京新聞のコンクールの創作部門で1位を受賞し、2002年から母校で教鞭をとっている。
今回の舞台は、ダンサーによる群舞を中心とした前半と、4人の男女による後半という二部構成。一部の群舞は、祝祭的かつ儀式的な構成で、二部は、黒い衣装の男女が中央に置いた二つの椅子と絡み、素早い抽象化した動きを見せる。ノイズ的な音のリフレインの展開に、『パッヘルベルのカノン』が挟まる。
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音・イメージともに、80年代にウィリアム・フォーサイス、イリ・キリヤンなどが振り付けた、いわゆるコンテンポラリーバレエの形を踏襲する。当時のフォーサイスのバレエは研ぎ澄まされた美しさ、エッジの効いたハイテクニックと動きによって、空間を切り裂くようだった。キリヤンも鋭い動きを求めたが、同時に、ネザーランドIIIでは、シニア層のダンサーを使って、独自の世界を作った。松永の舞台を見ていて、当時のことを思い出した。あの鋭い感覚世界をフォーサイスはもう作らない。当時、ダンスの脱構築といわれたが、少なくともここにそれは見出せなかった。 |
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菅原翠子
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キミホ・ハルバートは、バレエダンサー岸辺光代を母、英国人のダンサー・振付家アンソニー・ハルバートを父に持つ。岸辺は東京バレエ団出身で海外でも活動し、その後、指導者として活躍、自分のバレエスタジオと新国立劇場などで教え、バレエの著書もある。アンソニーは、ベジャールの二十世紀バレエ団を経て、ネザーランドシアターで踊り、そこで岸辺と出合ったようだ。
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関口 祐美
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キミホは、母のバレエ団と海外で学び、コロラドバレエ団などで活動し、しっかりとしたバレエテクニックを持つ。多くのバレエやコンテンポラリーバレエの舞台に出演し、近年、自ら振付を行っている。「ユニット・キミホ」として、常に優れたバレエダンサー、コンテンポラリーダンサーを集めて行う公演には定評があり、『White Fields』などの作品は、独自の世界を優しい感受性で生み出している。また、今年の3月には、『MANON』で、『マノンレスコー』を元に、新しい物語バレエともいえる作品を作り出した。 |
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ジョン・レイド&峰岸千晶
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菅原翠子&泊陽平 李民愛&米倉太陽
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今回の『AGUA』は「水」をイメージした2008年の作品。ダンサーたちがそれぞれ小さなライトを手に自らを照らしながら、舞台のみならず観客席からも登場して始まるという印象的なもの。また、左右対象という構成を避けて、常にアシンメトリックな群舞、配置によって、美的な感性の鋭さを感じさせる作品となった。特に舞台手前に一人腰かけて踊り出す峰岸千晶は印象的で、この場面はもう少し長く見たい。全体として、バレエとコンテンポラリーダンス両方をよく知るキミホが、バレエダンサーを巧みに生かした舞台だった。
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峰岸 千晶
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