上田遙「ドラキュラ」~赤い血の記憶 直前レポート 05/3/31登録メンバー配信 EXTRA Dramatic Dance Theater 「Dracula」 昨日やっと(遅すぎ!)稽古を見に行ってきました。ちまたで話題の「ドラキュラ」です。何が話題か?って、舘形比呂一さんがドラキュラを演じることに加えて女優三田和代さんが初めて上田遙作品に参加する、これはもはや事件です。“コラボレーション”ばやりの昨今ですが、今回ほどワクワクしたことはありません。そしてその期待は裏切られませんでした。 三田和代さんは舘形比呂一さん(ドラキュラ)の母親役なのですが、二人の目線がからむと“バチバチッ!”と稽古場に火花が飛びます。負けじと三木雄馬クンがその間に割って入り.....あれは二重人格者の中の三角関係なのでしょうか?ご自分の目で確かめることをお勧めします。 『レディマクベス』で好評を博した上田遥、舘形比呂一のコンビに、女優・三田和代を加えて贈るダンスドラマ『ドラキュラ〜赤い血の記憶』。ダンスと言葉という異分野のコラボレーションは、上田作品でも初めての試みです。普遍的なドラキュラ像をくつがえすような、独特の“遥ワールド”を創りあげている最中の3人に、お話をうかがいました。 D.S「まず最初にお伺いします。ご職業はなんですか?」 舘形(三田さんと目を合わせながら)「女優.....?」(爆笑)「役者.....、いえ、やはり舞踊家って書きます。」 三田「私は、俳優って書きますね。女優って書くのはなんとなく恥ずかしくて、俳優って書いちゃいますね。男でも女でもないもの。女優っていうとなんだか、それほどのもんでもないだろうって思っちゃう」 D.S「今まで女優って書いたことはなかったんですか?」 三田「恐れながら(書いたこともあります)…。今は俳優って書きますね」 上田「僕は舞踊家ですけど、普通は舞台人っていうのが気が楽かな。」 D.S「その中にダンサー部分は何割ぐらい含んでいるんですか?」 上田「今は…ほとんど少ないですね。(笑い)自分が踊りたいって気持ちになることがだんだん年々(少なくなってきて?)…。こっちで見ていたいわけですから、そっちの方が強いです。僕の代わりに舘クンが踊ってくれてますから(笑い)」 D.S「ところでこの豪華メンバーのきっかけは?」 上田「三田さんと初めて会ったのは、友人の誕生日パーティーでした。そのとき、三田さんが非常に異彩を放っていて、素敵だなと思ったわけですよ。それで「ドラキュラ」のイメージがグッとわいて、お願いしようと思ったんです。最初は、舞台で朗読するだけだって言ったんです(笑)」 三田「(舞台)横でリーディングするんだとばっかり思ってたんですよ(笑)。それぐらいだったらできるかなぁ、と。だからあとから、えっ、セリフ憶えるんですかっていうかんじでした」 D.S「だまされた?(爆笑)舘形さんへの交渉は?」 上田「彼の場合は、美学がありますから、それに触れないとやってもらえないんですよ。それと誰が相手役かっていうのが、非常に大事なところです。人選と、台本と、あと衣装にもこだわりますね、彼は」 D.S「俳優、舞踊家としてそれぞれが一番大切に思ってらっしゃることは何でしょう?」 舘形「お互いがどれだけ向き合えるかですね。稽古場で過ごす時間を共有していって、信頼感ができてきたりとか、理解できたりとか。だから(稽古場こそ)ぶつかるべき場所かもしれませんね。逆に(稽古場を離れた)舞台上では、どういうふうに存在できるかが気になりますね」 D.S「エッ?すごい存在感ですよ(笑い)存在感といえば、三田さんが言葉を発した瞬間に場が変わるっていう。あれは大女優三田和代だけが持つものなんでしょうね。」 舘形「もう大ファン(笑い)ファンになりました。実はドラキュラって聞いたとき、最初はあんまり乗り気じゃなかったんです。髪をオールバックにして、黒い燕尾服着て…っていう、マンガの中のドラキュラみたいなのをやらされるんじゃないかって思ったんで、そういうのには興味がなかった。で、いろいろ話を聞くと二重人格みたいな青年が…っていう内容で、そのへんから少しずつ、あぁなるほどな、と興味がわいてきたんです。 そこへ三田さんの名前が上がって…。それまで三田さんの名前は知ってたけど、舞台を観たことがなかったんです。今回初めて『喪服の似合うエレクトラ』を観に行って、まず最初に舞台に登場してきたのが三田さんだったんです。その最初の登場シーンの迫力にもうやられた!って感じですよ。もう、大ファンになりました(笑)。三田さんを見て、何かが生まれるかなって思ったんですよね。そこで初めて出演を承諾しました。」 D.S「熱烈なラブコールがありましたが(笑い)。同じ舞台人として舘形さんをど うとらえますか 三田「憧れる…すてきだなぁって。きれいというより、刺激される。どきどきしちゃう。私たちがいくらセリフであれこれ言っても負けちゃう。舞踊の人たちが持っているエネルギーって、すごいなって思っちゃいますね」 D.S「負けてたまるかって思いませんか?」 三田「思わないですよ(笑い) D.S「では、三田さんが俳優としてもっとも大切にしてるものは?」 三田「今日の私に正直に生きているのかなっていうこと。こうしようとかああしようとか、あんまり思いすぎると、見失っちゃうんです。だからできなくてもできても、今日わき上がってくるものでいようっていう」 D.S「昨日・今日・明日で、違うわけですか?」 三田「違います。わからないんだけど、生きものだし生きてるから何が違うっていえないんですけど、昨日の私と今日の私と、絶対違うんですよね。だから今日この瞬間にタッチできればいいって感じなんです」 D.S「お二人とも光っているスター同士ですが、お互いの光とかオーラを感じますか?」 舘形「たとえば踊りを踊っていても、コミニュケーションのとれるダンサーの方と、コミニュケーションとりづらいダンサーの方っているんです。舞台で作品を表現していくとき、関係性を見せていくって大切だと思うんですよ。どういうふうに思ってるとか思われてるとか。そうすると、コミニュケーションってすごく大切だと思うんです。三田さんとは、ものすごくいっぱい交流を感じるんですよね。言葉ではない言葉を交わしてるっていうか。だからお互いのオーラということよりも、コミニュケーションをとれることが、今は楽しくてしょうがないです。三田さんの発してくれるセリフの勢いとか、表情とか、雰囲気とかに乗せられて、それに自分が肉体で返していくというのが..。」 三田「私はこういうコラボレーションは初めてなんです。今回は、こういう体験をできてよかったと思いますよ。言葉じゃない分野で、自分の眠ってた五感みたいなものをすごく刺激される。そういうのを使わないでずっとやってきたなっていうのを、今回初めて知りました。」 D.S「遥さんがこの出会いをセッティングされたわけですが、想像以上のことは?」 上田「舘形さんも三田さんも、きちっとまず自分が納得しなかったら表現していただけない。(笑い)何となく(踊るとか演技する)っていうのはないわけですから。何を僕達はやるんだっていう一番基本的なところを。それをすごくやさしい涼しい目で「なぜ?」って言われた時に正直とまどいました。 (笑い)それを避けていくと、形にはなっていくけど、何か大切なものを置き忘れてる。私も忙しかったりとか雰囲気だけで行っちゃってるところもあったんで、今回、三田さんにそこらへんをぐっと引き戻された。一番どきどきしちゃったのは『貴子という役をお客さんにお渡しする時に…』って言われて(笑い)それを(三田さん自身が)納得させてほしい、と。それは僕だけじゃなく河内くんにも言った方がいいと思うんだけど(笑い)それで、夜中のFAXのやりとりがあるわけですよ。リハーサル入った時には、台本でき上がってないわけですから。」 D.S「最後に「ドラキュラ」で、お客さんに何を感じてほしいですか?」 三田「あまり考え込まずに、“けっこう面白かったじゃない”って何かを感じてもらえればいい。芝居ではなく、ダンスドラマですから。こういうコラボレーションもできるんだなって思ってもらえればいいかな」 舘形「お客さんがどう捉えるかが、すごい興味深いんですよね。今までにないことをしてるからだと思うんですけど、“ここが売り”っていうのが自分でも明確にわからないんです。どこの部分をお客さんが受け取ってくれるのか、楽しんでくれるのか、というのが…」 三田(二人が顔を見合わせて)「見当つかないですよね(笑)」 上田「僕は今稽古を見てて、すごく楽しんでるところがあるんです。この二人だけじゃなく、スタッフたちともみんなで作り込んできたこの時間を、一緒に楽しんで過ごしてもらえればいい。だって俺が楽しいから(笑)」 05/3/30 バレットマンスタジオにて エディター:砂塚洋美
EXTRA
Dramatic Dance Theater 「Dracula」
そこへ三田さんの名前が上がって…。それまで三田さんの名前は知ってたけど、舞台を観たことがなかったんです。今回初めて『喪服の似合うエレクトラ』を観に行って、まず最初に舞台に登場してきたのが三田さんだったんです。その最初の登場シーンの迫力にもうやられた!って感じですよ。もう、大ファンになりました(笑)。三田さんを見て、何かが生まれるかなって思ったんですよね。そこで初めて出演を承諾しました。」
D.S「では、三田さんが俳優としてもっとも大切にしてるものは?」 三田「今日の私に正直に生きているのかなっていうこと。こうしようとかああしようとか、あんまり思いすぎると、見失っちゃうんです。だからできなくてもできても、今日わき上がってくるものでいようっていう」 D.S「昨日・今日・明日で、違うわけですか?」 三田「違います。わからないんだけど、生きものだし生きてるから何が違うっていえないんですけど、昨日の私と今日の私と、絶対違うんですよね。だから今日この瞬間にタッチできればいいって感じなんです」
三田「私はこういうコラボレーションは初めてなんです。今回は、こういう体験をできてよかったと思いますよ。言葉じゃない分野で、自分の眠ってた五感みたいなものをすごく刺激される。そういうのを使わないでずっとやってきたなっていうのを、今回初めて知りました。」
上田「舘形さんも三田さんも、きちっとまず自分が納得しなかったら表現していただけない。(笑い)何となく(踊るとか演技する)っていうのはないわけですから。何を僕達はやるんだっていう一番基本的なところを。それをすごくやさしい涼しい目で「なぜ?」って言われた時に正直とまどいました。
(笑い)それを避けていくと、形にはなっていくけど、何か大切なものを置き忘れてる。私も忙しかったりとか雰囲気だけで行っちゃってるところもあったんで、今回、三田さんにそこらへんをぐっと引き戻された。一番どきどきしちゃったのは『貴子という役をお客さんにお渡しする時に…』って言われて(笑い)それを(三田さん自身が)納得させてほしい、と。それは僕だけじゃなく河内くんにも言った方がいいと思うんだけど(笑い)それで、夜中のFAXのやりとりがあるわけですよ。リハーサル入った時には、台本でき上がってないわけですから。」
05/3/30 バレットマンスタジオにて エディター:砂塚洋美