2010都民芸術フェスティバル
(社)日本バレエ協会公演
「ジゼル」全幕
メアリー・スキーピング版

2010.3.27&28 東京文化会館大ホール

1of 3
JAPAN BALLET ASSOCIATION
Mary Skeaping's Virsion Giselle

アレブレヒト:ファビアン・ライマー
アレブレヒト:法村圭緒
ジゼル:永橋あゆみ
酒井はな&ファビアン・ライマー
なかなか興味ある
メアリー・スキーピング復元版ジゼル

うらわまこと

 『ジゼル』は1841年に、ジャン・コラッリ、ジュール・ペローの振付によってパリオペラ座で初演されたものですが、現在わが国をはじめ世界各地で上演されているものは、その後マリウス・プティパなどによって改訂され、ロシアで上演された版にもとづいているとされています。

 今回日本バレエ協会で上演した作品は、19世紀の前半にアンナ・パブロワのバレエ団で踊っていたメアリー・スキーピングによるものです。彼女はできるだけ初演に近いものをと、いろいろと資料を集めて1971年にこの復元版をつくりました。

永橋あゆみ&法村圭緒
酒井はな&ファビアン・ライマー
クールランド公:原田秀彦&バチルド:福沢真理江
ペザント・パ・ド・ドゥ:キミホ・ハルバート、下島功佐
ペザント・パ・ド・ドゥ:奥田花純、奥村康祐
 170年前のものと同じかどうかは確かめようもありませんが、現在の版とは違う部分がいくつかあります。それは新しい音楽や場面が加えられるとともに、動き(音楽)のテンポが遅くなった部分もあり、上演時間は現在のものに比較して20分ほど長くなっています。ただ、物語そのものや、主役たちの関係は基本的に変わりなく、演出、振付も多少の違いがあるものの、とくに「目からうろこ」といった新しい発見はありません。また、現在の版と比べて、ロマンティックバレエの時代の形式、構成や動きの自由さ、素朴さもとくに感じられず、むしろきちんと分かりやすく作られているように感じました。
永橋あゆみ
法村圭緒
 やや専門的に細かくなりますが、違いをあげてみます。第1幕では、ペザント・パ・ド・ドゥとジゼルのヴァリエーションが、クールランド公やバチルドなど貴族たちに捧げられる設定になっていること。どちらかの踊りが捧げられるという演出は日本でも見られるのですが、この両方がというのは他では知りません。

 もう一つは、通常この2つが踊られる収穫祭の場で、ジゼルとアルブレヒトのアダージョとソロが踊られたこと。たしかにここはその直前にジゼルのしっかりしたヴァリエーションがあり、この2人の踊りはグラン・パというにはやや中途半端で、これは後で整理され、現在のように再構成されたものかもしれません。

ファビアン・ライマー
酒井はな&ファビアン・ライマー