札幌舞踊会Xmas公演 Christmas Triangle
2016.12.9 札幌市教育文化会館 大ホール

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SAPPORO BUYOKAI
Christmas Triangle

「弦楽セレナーデ」

【振付】千田雅子
バレエミストレス/深谷優子

3つの視点からの注目作
札幌舞踊会「クリスマス・トライアングル」

うらわまこと
 札幌舞踊会という団体があります。

 もちろん札幌にあるのですが、札幌バレエ団でもなく、札幌ダンスカンパニーでもないのです。これを設立されたのはもう60年近くも前、千田モトという方なのですが、個人名でなく、地域を頭につけ、しかも「舞踊会」という、構想の大きさと、いかにも舞踊好きの集まりというイメージをもった、他にはまず例をみない団体名です。しかも、全部漢字、何となく日本的な感じ(漢字)もします。

 ところが、その活動内容がすごい。先代の時もそうだったのですが、お嬢さんの雅子に代わってからはなお、名は体(つまり活動内容)を表さないのでなく、逆に体が名前に新しイメージを与えました。

 それはどういうことかと言うと、古典バレエもしっかりやるのですが、それに加えてというか、むしろこちらが主体といってもよいほど、新しい感覚の創作を積極的に発表しているのです。

 千田モトの時代からはじまって、雅子、そしてここで育った坂本登喜彦の新作、そしてそれとは別に、まだ余り知られていなかった時代の島崎徹、金森穣などを積極的に登用したのです。さらに付け加えれば、国内外で活躍しているクラシック、またコンテンポラリーダンサーを多数生み出し、いまや札幌舞踊会といえば、極めてユニークでしゃれた感覚の作品を創造、上演する団体という定評を得るようになっています。

 さて、今回は「クリスマス・トライアングル」という公演。
 最近は3作構成の公演はトリプル・ビルということが多いのですが、それをあえてトライアングル、これは三角ということでもありますが、むしろ3つのアングル(視点)という意味にとれます。というのは、千田雅子の趣の異なる旧作と新作、そして、ダンサーとしては高い評価を得ていますが、振付者としては実績の少ない木原浩太を起用しての新作という、タイプの違う3作でプログラムを組んでいるからです。
 まず『弦楽セレナーデ』。
 1979年に初演、再演を経て久しぶりの上演作品。千田雅子がバランシンの『セレナーデ』に触発された作品。清浄ななかに、人間のドラマを垣間見せる彼の代表作のひとつ。千田は女性の衣裳や動き、ポウズにバランシン版のイメージを残しながら、彼女自身の空間を創造しました。
林香織&横岡諒
 そのポイントは、白いスラックスのスポーティな男性(横岡諒)をクールな女性に対比させ、そこに波紋を生じさせたこと、そしてその心の動きを星空を彩る照明の変化で表現したことです
梶原千佳/神島百合香/倉田明奈/小倉友梨香
平史樹/矢部優稀/山岸匡彦/渡辺翔
 具体的にはとくに第1楽章で清浄な女性たちの心のゆらぎを、そしてそれを高揚に発展させ、第3楽章ではシルエットを使ったりして男女(林香織、横岡)の出会いと別れのパ・ド・ドゥをしっかり見せ、最後の章で全員のコーダで大団円となります。

 とくに女性たちがバランシンのスタイルをこなしながら、人間としての心をきちんと見せているのが印象的でした。