2018都民芸術フェスティバル参加公演
(公社)日本バレエ協会「ライモンダ」全幕

2018.3.10&11 東京文化会館・大ホール

2of 3
Japan Ballet Association
Raymonda

アブドゥルラクマン:高比良 洋&米沢 唯
アブドゥルラクマン:三木雄馬&下村由理恵
アブドゥルラクマン:福岡雄大&酒井はな
三木雄馬&下村由理恵
ジャン・ド・ブリエンヌの浅田良和は、中世の騎士らしい荒々しさがあった。アブデラクマンとの対決では、相手を見下すような演出もあるが、浅田は怒りを隠さず、対等な恋敵と認識して戦う。サポートの多い役だが、要所要所の見どころを押さえ、三幕のヴァリエーションでは高いテクニックを披露した。
クレメンス:奥田花純 エンリエット:竹内菜那子
ベルナール:江本 拓 ベランジェ:吉田邑那
アブデラクマンは、福岡雄大という意外なキャスト。白タイツを履きこなす二枚目役で観ることが多いが、キャラクテールも見事であった。アリーエフ版は他の版と比べ、アブデラクマンとライモンダが接するシーンは決して多くないため、一つ一つの場面でどれだけライモンダへの思いを伝えるかが重要だ。求愛が足りないと、政治的な誘拐犯になってしまいそうだが、心配は無用である。福岡のアブデラクマンは、家来の前では堂々と立ち回り、ライモンダに愛を語る際は、腰を落としてうっとりと見上げる。暑苦しいほど情熱的に胸の内を伝えていた。
クレメンス:玉井るい エンリエット:平尾麻実
ベルナール:吉瀬智弘 ベランジェ:高谷 遼
サラセン:橋元結花、池本祥真
サラセン:渡久地真理子、牧村直紀
パナデロス:亀田晴美、敖 強
パナデロス:大木満里奈、長清 智
一幕の夢の場や、二幕のキャラクターダンスは、様々にフォーメーションを変える群舞が面白い。特にイスラム帝国の一行の登場と退場は、腰を低く保ちながら滑るように走り、まるで波が引いては返すような一体感があった。帝国のソリストは渡久地真理子と牧村直紀、スペインのソリストは大木満里奈と長清智。民族舞踊の場面は、興奮した観客の歓声が聞かれるほど盛り上がった。
高比良 洋