名倉ジャズダンススタジオ 第18回公演
CAN
T STOP DANCIN 2008

2008.12.11〜14 青山劇場

1of 1
Nakura Jazz Dance Studio
2008


第1部 Soul In Music

鳥居かほり

山野博大の電脳バレエ横丁徘徊

 名倉加代子さん率いる名倉ジャズダンススタジオの第18回公演《CAN'T STOP DANCIN' 2008》が今年も青山劇場で12月11日から4日間で6公演という日程で行われました。

 Part 1がクラシックの親しみやすい曲などを使った「Soul in Music」、Part 2
がジャズの曲による「Just Jazz」。このプログラムは例年のもので、お客様の方もよく知って楽しんでいました。

常藤利恵子
佐藤洋介
 「Soul in Music」のオープニングは、青山劇場のセリの機構を駆使した大人数のダンスです。舞台のどの部分でも自由に上下することのできるセリに大勢のダンサーが乗って激しくステップを踏んでいます。舞台の客席に近い方のセリを高く、奥に行くに従って低くした状態で幕をあけておき、観客におやっ!と思わせておいて、ゆっくりと後方を高くして行きます。このダイナミックな空間のコントロールによって客席の雰囲気がいっきに高まりました。
清水フミヒト
 オープニングの大群舞の先頭に立っていたのは、鈴木レイ子さん、松岡宏さん、三木雄馬さんの3人。

 次の「かげろう」では清水フミヒトさん、桑原文生さん、鳥居かほりさん、佐藤洋介さん、神田英姫さんが中心を踊りました。

 そして「CITY LIGHTS」には、宝塚退団後、ミュージカルなどで活躍している順みつきさんが登場し、裕幸二さん、松岡宏さんの男性2人と女性大群舞にサポートされて、歌いかつ踊ります。

佐藤洋介&神田英姫
松岡宏
 公演のプログラムには、この順さんと名倉さんのお喋りが載っています。その冒頭で名倉さんが「ミッキー、今回出演してくださってありがとう。しばらくレッスンをしていなかったから久々のレッスン、大丈夫?」と聞いています。めいっぱいからだを酷使する名倉ジャズダンスにゲスト出演するには、やはりそれなりの覚悟が必要なのですね
順みつき
 そして次の「疑惑」を名倉さんが、大ベテランの須山邦明さんを相手に踊ります。この場面は、にぎやかな群舞シーンからしんみりとしたデュエットに変わりました。仲の良いふたりの語らい、その中でちょっとしたことから不信が芽生え、深刻な状況に.....。

 名倉さんの演技は、絶妙なタイミングで繰り出されるからだの動きによって、観客の心に鋭く突き刺さるように伝わってきます。演技とダンスをうまく融合させて、二人のやりとりを台詞がなくてもはっきりと理解できるように示しているのです。

須山邦明 & 名倉加代子
三木雄馬
「Bird」「死の舞踏」「Soul of Derbyhat」とダンスは続きます。

 「死の舞踏」は、前に堀内充さんを中心にやっているのですが、こんどは三木雄馬さんの主演で再演しました。これは両方の良いところをそれぞれに生かすダンスとなっていました。

 そして鈴木レイ子さんがふたたび真ん中に登場する「Soul of Derbyhat」で締めくくっています。
 名倉のダンスでは帽子がいくつも使われ、それが楽しい見ものとなります。ここではダービーハットを舞台いっぱいのダンサーたちがたくみに操ってのダンスになりました。

桑原文生          佐藤洋介

第2部 Just Jazz

宮下真理子/清水フミヒト/鳥居かほり
須山邦明&宮下真理子  裕幸二&鳥居かほり
 「Just Jazz」はいつもの通り「シング・シング・シング」で始まり、たて続けに7曲を見せた後、ふたたびこの曲で幕を閉じました。しゃれたクラブにやってくるお客様、そこで働くウェイターたちなどがさまざまなダンスを展開します。

 そして名倉さんが男性7人を従えて登場する「ST.Louis Blues」となります。テンポの早い演奏に乗って、名倉さんはきびきびと踊りまくり、観客の興奮は最高潮に達しました。

鈴木レイ子
名倉加代子
名倉加代子
順みつき
 そして順みつきさんと大群舞による「Too Darn Hot」となり、いっきに壮麗なフィナーレへと進みます。この舞台に出たダンサーたちの誰もが、全力を出し切って舞台の上で燃え尽きるんだという覚悟で踊っていました。

 ひとつのことに打ち込む姿の美しさ、そういう打ち込めるものを持っているすばらしさが、舞台から客席へひしひしと伝わってくる公演でした。

2008年12月11日〜14日青山劇場 11日所見

 やまの・はくだい=舞踊評論家

STAFF

構成・演出・振付/名倉加代子
照明/勝柴次朗
美術/斎木信太朗
音響/大坪正仁
音楽/長谷川雅大
舞台監督/森岡 肇