Hiroto's show「天照道成舞降」
2019.4.27 和光市民文化センター サンアゼリア

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Hiroto's show

八幡顕光
神話の中の神話と言えるのが「天岩戸」ですが、盆子原美奈さんが天照大神(アマテラスオオミカミ)を、暴れん坊の弟:須佐之男(スサノオ)を八幡顕光さんの新国立劇場コンビがさすがの切れ味で踊りました。
アマテラスオオミカミを呼び戻す大宴会のメインダンサーはもちろんアマノウズメ:金田あゆ子さんです。神話では世の中は再び光を取り戻したでハッピーエンドですが、白石泰三さんの脚本は簡単に大団円には終わりません。
ツクヨミ:吉﨑裕哉&アマノウズメ:金田あゆ子
天照大神:盆子原美奈
ツクヨミに裏切られた失意が怨念に変わり、やがてアマノウズメは8つの頭と8本の尾を持つヤマタノオロチに変貌。舞台狭しと悪霊が暴れ回れ、まるでスターウォーズのような大スペクタルとなりました。

原作?にある“壺の策略”はないのですが、8匹に分身したオロチがスサノオに襲いかかります。肌がヌメヌメと光るような衣装は見事でした。もちろん最後は元祖ライトセーバーとも言える“クサナギの剣”が光り、平和へと導きます。

そう簡単に平和と繁栄は手に入らないのだと思わせる演出・振付ですが、それは現代の日本も同じです。

平成から令和へ変わる今まさにこの時、19/4/18に「今上天皇が(先祖とされる)天照大神を祀る伊勢神宮を参拝し譲位をご報告」のニュースが流れました。三種の神器の「剣」を初めてリアルな映像で見ましたが、これこそが“クサナギの剣”なのですね。私達は今も神話の中に生きています。

「天照道成舞降」のテーマは「時を越えて」なのですが、ヒロイン輪廻転生の物語ではなく、女の情念こそが歴史を作ると強く感じた舞台でした。元女性の名取寛人さんならではの視点なのでしょう。「女性は強くも弱くもなれるけど、良くも悪くするのもオトコなのよと言われている気がします。考え過ぎでしょうか(笑)
私の単純な感想を狐役の加賀谷 香さんに伝えたら笑い飛ばされるでしょうか。狐は狂言回しに徹して何かアクションを起こすことはないのですが、最も人間社会に接した場所から見ている存在として、妖艶な怖さで舞台を締めました。ひょっとして狐は神の使いではなく、観音さまの化身だったのでしょうか。

19.4.27 和光市民文化センター サンアゼリア所感

写真・文 鈴木紳司

Staff

企画・構成・演出:名取寛人
構成・振付:加賀谷 香
脚本:白石泰三
音楽:坂出雅海
振付:金田あゆ子、高岩利恵、林 真衣

舞台監督/(株)アートクリエイション 堀井基宏
照明/ASG 稲葉直人
音響/IGO STUDIO
衣裳/TFA長拳隊衣裳部、Hiroto’s show衣裳部

制作/金子直生、Hiroto’s show制作
主催:Hiroto’s show